歌舞伎十八番「外郎売(ういろううり)」について知りたい!

歌舞伎十八番「外郎売(ういろううり)」について知りたい!

突然ですが、皆さんは
「ういろう」と聞いて、何を思い浮かべますか?
私はと言いますと、和菓子の「ういろう」を
思い浮かべました。

今回は、その「ういろう」ではなく、
歌舞伎演目で有名な
「外郎売(ういろううり)」について紹介いたします。

この作品は、2019年に
十一代目 市川 海老蔵さんと
長男 堀越 勸玄君が演じたことで話題になりましたね!
公演中、父 海老蔵さんが急遽
体調不良でお休みしたにも拘わらず、
1人で舞台に立ってやり遂げる姿は、
既にプロのお姿だ!とお姉さま方が
感心されたほど。

後半では、どこかで聞いたことがある!?
あの名セリフも紹介しますので、
是非、最後まで一読下さいませ!

歌舞伎十八番「外郎売」とは

そもそも「外郎(ういろう)」とは、
中国から伝わった薬の名称。

昔、二代目 市川 團十郎さんが
この薬を服用したところ、
持病の咳が止まったそうです。
その後、團十郎さんが、感謝の気持ちを込めて、
芝居に外郎売の姿で登場したことが、
この作品の始まりだと言われています。

「外郎売」は「歌舞伎十八番」の1つに
選定されたものの、しばらく上演が
されなかったそうです。

それを、海老蔵さんの父、
十二代目 市川 團十郎さんが
1980年に復活させ、今日の上演に至るという訳です。

当初は主人公の「外郎売」のみが
出演していたのですが、
海老蔵さんが七代目 市川 新之助を名乗っていた際、
十二代目 團十郎さんと一緒に舞台に立って
「貴甘坊(きかんぼう)」を演じてからは、
今も同じ演出で上演されています。

当時「貴甘坊」を演じていた海老蔵さんが
今では「外郎売」を務め、
長男 勸玄君が「貴甘坊」を務めているとは
なんとも感慨深いですね。

歌舞伎十八番とは

市川宗家のお家芸として選定された
18番の歌舞伎演目のことを
「歌舞伎十八番」と言います。

現代では、「十八番」と書いて
「おはこ」と言ったりしますが、
この言葉、歌舞伎が由来していることは
有名な話ですね。

「歌舞伎十八番」の中には
以前紹介した、「助六」や「勧進帳」といった
有名な作品も含まれています。

さて、そんな「外郎売」のお話は
一体どのような内容なのでしょうか。

歌舞伎「外郎売」のあらすじ

「外郎」は中国から伝わった薬と
お伝えしたように、これは「薬売り」の話。

…ではないんです!

実はこの演目、父親の敵討ちを企てる兄弟の話!

「えっ!意外なテーマだった!」
と私も思いました 苦笑

「外郎売」という演目は
日本三大仇討ちの内、

赤穂浪士の討ち入り
伊賀越えの仇討ち 

に続く、「曽我兄弟の仇討ち」を
基に作られた作品です。

あらすじ

父親の敵である工藤 祐経(くどう すけつね)が
宴を開いていると、貴甘坊を連れた外郎売が
やってきて、薬(外郎)の由来や効能を聞かせます。
外郎売は貴甘坊に薬を一粒飲ませて、
すらすらと早口で説明させるのですが、
それも薬の効能の1つであると言います。

そして、実はこの外郎売の正体は
仇討ちを狙う、曽我兄弟の弟・曽我 五郎だった…
というお話です。

「外郎売」の見どころは、何と言っても
貴甘坊の言い立て
4分間にも渡る長いセリフは圧巻です。

言い立て・つらねとは

歌舞伎では、主人公が
掛詞や洒落を効かせた言葉を「連ね」て、
長セリフを言い聞かせることを
「つらね」と言います。
そして、貴甘坊の早口言葉も、
この「つらね」の一種で、言い立てと言います。

「外郎売」のセリフ

さて、この有名な貴甘坊の言い立てですが、
早口言葉が多いことから、
アナウンサーやお芝居の世界では
活舌のトレーニングでも使われています。
今回は、その一部を
一緒に読んでみましょう!

外郎売が貴甘坊に薬を飲ませた後…

外郎売:
ひょろっと舌が回り出すと 矢も楯もたまりませぬ
そりゃそりゃそりゃ回ってきた回ってきた
そもそも早口の始まりは
貴甘坊:
アカサタナ ハマヤラワ オコソトノ ホモヨロヲっと
一寸先のお小仏に おけつまずきゃなるな
細溝に泥鰌(どじょう)にょろり
京の生鱈 奈良 生学鰹 ちょいと四五貫目
来るわ来るわ何が来る 高野のお山のおこけら小僧
狸百匹 箸百膳 天目百杯 棒八百本
武具 馬具 武具 馬具 三武具馬具
合わせて武具馬具 六武具馬具
菊栗 菊栗 三菊栗 合わせて菊栗 六菊栗
あの長押の長長刀は 誰が長長刀ぞ
向こうの胡麻殻は 荏の胡麻殻か真胡麻殻か
あれこそ本当の真胡麻殻
がらぴいがらぴい風車 おきやがれこぼし おきやがれ小法師
夕べもこぼしてまたこぼした
たあぷぽぽ たあぷぽぽ ちりからちりから すったっぽ
たっぽたっぽ干蛸 落ちたら煮て喰を
煮ても焼いても喰われぬ物は
五徳 鉄弓 金熊童子に 石熊 石持 虎熊 虎ぎす
中にも東寺の羅生門には 茨木童子が
うで栗五合つかんでおむしゃる
かの頼光のひざ元去さらず

これは「名セリフ」と言われる
セリフ全体の約1/4部分なのですが、
ゆっくり読んでも、舌を噛んでしまいそう…
なんと、作品の半分程がこの「言い立て」で
構成されているんだそうです。

まとめ

「外郎売」の名セリフ、
中には馴染みのある早口言葉が
あったのではないでしょうか?
これを機に、2020年の「外郎売」を
観劇しに行ってみて下さいね。