これで歌舞伎がもっと面白くなる!?定紋について学ぼう

突然ですが、皆さんは
ご自分の家紋をご存知ですか?
核家族化が進み、
家系や家紋を意識する機会が
減少しているようにも感じますが、
これは、家族のお墓なんかに
ついていたりします。
この家紋、実は歌舞伎界でも
大切に扱われてきたものなのです。
今日は、歌舞伎界に伝わる
家紋について学びます。
新たな知識が、歌舞伎鑑賞を
さらに盛り上げることになりますよ!
是非、最後までご一読下さい。
家紋とはいったい何?
家紋とは、先祖から
伝わる家を表す紋章のことで
その発祥は、平安時代にまで
遡ると言われています。
山田・田中・鈴木など
よくある苗字はみんな同じ家紋
というわけではなく、
出身地や家業によっても
異なる家紋が伝わっているそうです。
戦前は、自分の家紋が入った
紋付袴が正装とされていたり、
今でも、仏壇や墓石に
家紋が彫られていることがあります。
気になる方は、是非確認してみて下さい。
歌舞伎の定紋・役者紋とは?
「定紋(じょうもん)」とは
それを見ただけで屋号が分かる
歌舞伎界の家系に伝わる
家紋のことです。
家系の象徴として
伝わってきた「定紋」と並び、
歌舞伎役者が個人的に
好んで身に着けていた文様が
「役者紋」だと言われています。
江戸時代、歌舞伎役者たちは
これら「定紋」や「役者紋」を
手拭いや風呂敷に染めて
今で言う、アイドルの
オリジナルグッズのように、
家系や役者のPR活動に
利用したそうです。
人気歌舞伎役者の
「役者柄」が入った衣装や着物が、
町中で大流行なんてことも
あったそうですよ!
屋号でお家の特徴が分かる!?
ちなみに、
歌舞伎における「屋号」とは、
役者の一家や一門によって
決まっているもので、
この「屋号」を見るだけで
お家の特徴や芸風が分かる
と言われている程、
歌舞伎の世界において
重要な意味を持ちます。
屋号や家元について
もっと知りたい方はこちらへ!
屋号で格付け?歌舞伎界の家元にまつわる話
屋号と併せて定紋を紹介!
ではここで、代表的な歌舞伎の
「定紋」を見ていきましょう。
成田屋の三枡紋
市川家の定紋は、
三つの桝を重ねた様を
デザインした「三桝紋」です。
初代 市川 團十郎さんが
初舞台の際に、父親の親友から
三つの桝を贈られ、
「ますます繁栄」
「ますます繁盛」
「観客が舞台を見ます」
などと言った洒落と、
願掛けを兼ねたことが
由来だと言われています。
この三枡紋には
格子状のものや、
縞の間にあしらったものなど、
様々なバリエーションが
あるそうです。
音羽屋の重ね扇に抱柏
音羽屋の定紋は
「重ね扇に抱柏」
(かさねおおぎにだきがしわ)です。
これは、初代 尾上 菊五郎さんの
ご贔屓(信仰していた神社 という説も)から、
扇にのせた柏餅を頂いた際に、
扇で受けとったことが
由来だと言われています。
中村屋の角切銀杏
中村屋の定紋は
「角切銀杏(すみきりいちょう)」。
この紋、元々は丸の中に舞鶴が
描かれていました。
しかし、将軍綱吉が姫君に
鶴姫と名付けたことから
鶴のデザインを使うことが禁止されたため
銀杏の葉を鶴が翼を拡げる様子に
見立てて作られたと言われています。
まとめ
皆さんの知っている
歌舞伎の家紋はありましたか?
家紋を知ることによって
その家系や歌舞伎の歴史を
知ることができるため、
より歌舞伎鑑賞にも熱が入りそうです。
また、田原町駅のホームには
昭和2年の開通当初に備えられた
当時の歌舞伎役者たちの
家紋が入ったプレートが
飾られています。
一度足を運んでみるのも
いいかもしれませんね。
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